人事制度の再設計を依頼されるとき、多くのクライアントは「評価シートを変えたい」「等級制度を整理したい」という具体的な要望を持っています。しかし私たちは、その前に一つの質問をします。「なぜ、人を評価するのですか?」この質問に答えられない組織では、どんな制度を作っても機能しません。
「なぜ評価するか」への答えが制度の設計を決める ¶
評価の目的は、組織によって異なります。「優秀な人材を特定して報酬に差をつけるため」なのか、「全員の成長を促すため」なのか、「組織として重視する行動を強化するため」なのか。この問いへの答えによって、評価の頻度、評価者の構成、評価項目の重み付けが根本的に変わります。答えを決めずに制度を設計すると、すべての目的を中途半端に満たす制度ができあがります。
等級制度が実態と乖離する理由 ¶
「等級制度が実態と合っていない」という悩みは頻繁に聞きます。原因の多くは、等級の定義が「職務の難易度」ではなく「在籍年数と過去の評価の積み重ね」になっていることです。等級は「この等級の人間に何を期待するか」を明文化したものであるべきです。その定義が曖昧なまま等級を設定すると、数年後には必ず実態と乖離します。
評価制度が機能しないとき、問題は評価者にある ¶
評価制度を変えても評価の質が変わらない場合、問題は制度ではなく評価者にあることが多い。評価者が「評価とは何か」を理解していない、評価の基準を自分なりに解釈している、フィードバックの仕方を知らない。制度の設計と並行して、評価者のトレーニングを設計することが必要です。私たちは人事制度の再設計に必ず評価者向けのワークショップを含めます。
採用基準と評価基準を一致させる ¶
採用時に重視した能力と、入社後の評価で重視する能力が一致していない組織があります。「採用時はコミュニケーション力を重視したのに、評価では専門スキルしか見ない」という状況です。これは採用した人材のモチベーションを下げ、離職につながります。人事制度の再設計では、採用基準と評価基準の整合性を必ず確認します。
人事制度の問題は、制度の問題より前提の問題です。「なぜ評価するか」という問いに経営陣全員が同じ答えを持つことが、制度設計の出発点です。その問いから一緒に始めることが、私たちのアプローチです。